Levis565 サイズ５,110

【BLKデニム　サイズ6 前回の続き】
わたしは彼の言葉を遮る《さえぎる》ように
「あなたがずっと欲しかったものでしょう？それに、とっても弟思いなのね。自分が履けないのに、ちっとも悔しそうじゃないもの。」ちょっとうつむいてから、彼は毅然《きぜん》とした表情で、わたしの目を真っ直ぐに見つめながら言った。
『もうすぐ妹が生まれるんだ。だからウチは、お金が必要なんだ。僕がおじさんにもらったジーンズを売っても誰も僕を叱らないよ。売れたお金をママに渡したいんだ。』
わたしは泣きそうになるのをグッとこらえて、「いいわ。いただくわ。こういうの、探してたのよ。」そう言ってポケットからドル紙幣を取り出して今夜の食事代だけ抜いて少年に渡しかけた。が、すぐ思い直して、ポケットに残した20ドル紙幣も彼のポケットにねじ込んだ。少年は、血相を変えて渡した紙幣を返してよこした。『こんなにもらえない。ママに渡したら、僕叱られちゃうよ！お前何したんだ，って言われる！』「あなたが大切にしているものを、いちばん高く買ってくれる人に出会った。そう言えばいいのよ。とっても価値のあるものだって言われたって。」

愛するママのために、生まれてくる新たな家族のために、自分の大切にしているものを手放すことをためらわなかった少年。
わたしのポケットに入っていたありったけの紙幣と引き換えに手に入れたのは、このブラックデニムと、心震わせる愛が確かに存在する事の震えるような感動だった。

ヒトは、口々に愛を語るが、誰も見たものはいない”
19世紀のイギリスの作家オスカー・ワイルドはそう言った。

そう、 愛”は、見えるヒトにしか見えないものなのだ。

ヒトは、愛する人のためならば大切にしているものを手放すことを厭《いと》わない。たとえ命がけで大切にしてきたものであっても、手放すことをためらいはしない。

まるで O・ヘンリーの短編小説のような体験をしてこのデニムを入手したのだった。

不思議な巡り合わせがこの世には存在する。
次に、このデニムを手にするのはいったいどんなヒトなのだろう！

リーヴァイス565 ワイドレッグ　サイズ５,110
両ヒザにスレあります。
希少565ワイドレッグ
Made in USA .